原体験ってなあに?


マッチで火をつけよう

■原体験とは

原体験とは,自然物を対象として触,臭,味の基本感覚を中心とした五感による直接体験をさします。

しかし,その意味は狭義としてとらえると単に触った,嗅いだ,味わったという体験に過ぎません。

そのため,これに視覚や聴覚を複合させ,自然物でモノをつくったり,遊んだり,探したり,採集,飼育,栽培という生活の基礎基本も含めて考えると広義の原体験を考えることができます。

こうした,原体験の対象となるものは自然物としては文化の歴史を踏まえ,火,石,土,水,木,草および動物の7つです。

さらに,私たちはこれら7つに暗闇の恐怖,飢えや渇きなどといった情感や意欲に関する体験も加えました。ただし,これは物ではないので,ゼロ体験として原体験の1つと考えています。

誰しも,子どもの頃行った原体験を通じて,人はふるさとの原風景を思い出すものでしょう。

原体験とは,まさに今,失われつつあるふるさと体験の一つでもあると,私たちは考えます。

 

■原体験と教育

これらの体験をただ行うだけでもふるさと体験としては十分なのですが,体験をもとに教育と融合させることで,さらに上位の学習体験へつながるものがあるはずだとして,私たちは,学校教育,とりわけ理科教育での生かし方を研究しはじめました。

前述の8つの原体験によってかなりの領域の学校教育をカバーすることも可能ではないかという前提でです。

また,近年では身近な科学の不思議を実物に触れて感じていくことも「科学原体験」として取り入れてきました。

当初の原体験とは少しスタイルを変えながらも豊富な原体験は感性の育成にもつながり,学習への興味づけとなり,後の学習で認識の深化や理解につながっていきます。

原体験は基礎体験学習,実験・観察学習,さらに探求学習へと通じているものであります。

とりわけ理科嫌い・科学離れが進んでいる昨今,直接体験の意義を大きく提唱するものであるとも考えます。

日常生活と学習の関連が重視されている今,「ただの体験」から,学習へとつなげ,そして発展・深化させていくことが重要でしょう。

そのための教材・素材はまさに身近にして無限(!?)。大いに取り入れてみる価値のあるものだと考えます。