動物病院日記「フクロウ」


廣瀬さんからの情報です。またまた、フクロウが持ち込まれたそうです。

 

■救出されてきたホンドフクロウ

民家の換気扇の中に飛び込んで来たホンドフクロウです。換気扇の中に三日間潜んでいたそうです。換気扇のベタベタ汚れが足にも羽にも・・・トホホの状態で運ばれてきました。

年末の大掃除でもないのに、換気扇の油汚れなんて「勘弁してくださいよーっ」です。
クレンジングオイルをなじませて、丁寧に大まかな油汚れを落とします。
ベタベタだった汚れがスルスルした感触に変わるとOKです。次に、食器用洗剤をぬるま湯で薄めて、羽を痛めないようやさしく洗います。あとは、もっと丁寧にタオルドライ。

*決して、ゴシゴシやってはいけません。羽が痛むと回復にたいへん時間がかかります。

 

体重650gの♂の成鳥と推察。おそらくは生後2年以上。

これまで保護してきたホンドフクロウのクチバシは、みんなグレイでしたが、今回は婚姻色?とでもいうのでしょうか、黄色です。

自然界では、野ねずみや昆虫などを食べるようです。病院では、カエルや鶏肉を与えます。このフクロウは体重の2割を一回で食べてしまいます。(120gほど)信じられなぁい!!!

フクロウの特徴で、恐い時は(文字通り)、ハァハァハァハァ言います。いや、これは、フクロウにはお気の毒ですが、笑ってしまいます。また、以前にも紹介しましたが、驚いた時や威嚇するときは、パチッという大きな警戒音を出します。

 

■別れの挨拶

フクロウを保護してから5日。

今日は旅立ちの日。奇しくも金環日食の当日です。

午後から風が強くなるので、少々、気がかりなのですが・・・

狭いケージで、羽ばたきたくてウズウズ。少しの隙をついて院内を滑空。羽根を痛めると大変です。放鳥を決断しました。

車から降りて見守っていましたが、まるで、「お別れだよ」というように、大きな目をこちらに向けて挨拶するかのようです。やはり、この瞬間は、切ないですね。

狭いケージで何年も生きるより、短くても自由に生きることが幸せと思っていても、もう一度、連れ帰りたい衝動にかられます。

 

■助走

先ほどの別れの挨拶(もちろん、フクロウにはその意図はないかもしれませんが)

くるりと背を向けると、助走の体勢・・・このあと、右手前方の深い木々の中に入って行きました。

里も田も近い山です。太い幹の大木や、枝を大きく張り出した新緑の広葉樹で、下草の様子などはうかがい知ることができません。この地で順応して欲しいと心から願います。

 

うーん、帰りの車中は気分が晴れません。万一、フクロウが残っていればきっと保護しようと意気込んで、30分後に、もう一度、同じ場所に戻ります(私の定例の儀式です)

結局、いつものことですが、フクロウの姿は見つかりません。

厳しくても自由な暮らしを!バイバイ、フクロウ!

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